論破王を論破
「ウェディングドレスは着たいんだけどって、ずっと思っていたんですよ。最初はなんとか結婚という方向にいかないかと、“私のこと好きじゃないの?”って言ったり、ちょっと頑張ってみたんですけど彼は変わらなくて。ダメか、ドレス着られないじゃんって思っていたときに気づいたんです。私は結婚がしたいんじゃなくて、ウェディングドレスを着るために結婚式がしたいだけなんじゃないかって」
本人の中での気づき。これが大きかった。
「それを彼にそのまま言ったんです。“私がしたいのは結婚じゃなくて結婚式でした”って。そのときはこんなウェディングドレスが着たいって具体的なイメージもあったので、こんなのが着たいって彼に見せて、“あなた、私のこと好きでしょ? これからも一緒にいたいでしょ? それなのに好きな私の夢を奪うの?”って言ったら、“じゃあ、結婚式をしよう”って、言ってくれたんです」
論破王を論破したのだ。
「よっしゃーって思って。私が準備するからなにが嫌かだけ教えてって聞いたら、2ちゃんねる絡みのことで変な人が会場に来ると面倒だから、国内じゃないほうがいいって。だから、私が海外の式場を探すからって、全部、自分で準備して結婚式を挙げたんです」
世間の常識より自分の意志
「私の中での結婚は、大切な人たちに見守られながらウェディングドレスを着て、好きな人とこれからも一緒にいましょうねって約束することだったんで、事実婚かどうかというのは、けっこうどうでもいいことなんです。最初に、一緒にいれば結婚するものと考えていたのは、まわりに流されていたんでしょうね。
ただ、普通はそうでしょ、みたいな世間一般の常識みたいなものって、自分の意志ではないですからね。じゃあ、その常識に従わないと、なにか不都合が発生するかと考えると、特にないから別にいいんじゃないのって。そう変わったのはやっぱり、彼の言葉がきっかけだったと思います」
「前は30歳とかになると、まだ結婚しないの? とか言ってくるような時代でしたけど、結婚式をすると言われなくなるんですよ。籍を入れたかどうかなんて、誰もわからないじゃないですか。おまけに念願のウェディングドレスも着られる。よし、解決って、自分の中でも納得がいきましたね」
世間の常識にとらわれず、一歩引いて観察し、自分にとって本当に必要なことを見つけていく。結婚、そしてひろゆきさんの言葉をきっかけに、ゆかさんは大きく変わったのだ。
西村ゆか(にしむらゆか)
1978年東京都生まれ。インターキュー株式会社(現GMOインターネット株式会社)、ヤフー株式会社勤務を経て独立。現在はフリーのWEBディレクターとして活動。2008年に西村博之(ひろゆき)と結婚式を挙げ、2014年に入籍してフランスへ移住。著書は『だんな様はひろゆき』(原作・西村ゆか/漫画・wako)。近著は『転んで起きて 毒親 夫婦 お金 仕事 夢 の答え』(徳間書店)。