ダウンタウン松本人志と浜田雅功の前で明かされた「秘密」

ーーエッセイ集『心のおもらし』には、『ヨシヒコ』での仏の芝居が一番稽古している、と書かれています。

佐藤「あれは長台詞があるんですけど、福田の脚本にト書き(※セリフ以外の指示)にこう書いてあるんですよ。“長台詞、適宜噛む”と」

ーーええ!? 丸投げ!

佐藤「“えっ俺任せ!?”と思って。そんなこと、ほかの俳優さんの箇所には書いてないですしね。福田は“二朗さん、こう書いたら喜ぶだろうな”と思ったんだろうけど……まあ喜びましたよね。
 私はそれまで、エキストラに近いAとかBみたいな役を10年くらいやっていて、あるドラマで、矢田亜希子さんが結婚するシーンの神父役をやったことがあったんです。そのときに演出から“なにかやってくれ”って言われて、わざと噛んだりしていたんです。そういう要素を、福田が見ていたんじゃないかな」

 こうした話は、以前はご法度だったという。当時の取材で「佐藤さんのセリフは全部アドリブですか?」と聞かれることも多く、そのたびに明言を避けていた。

 だが、佐藤さんが17年に『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演したときのこと。サプライズでVTR出演したムロさんが、「あれは全部計算です」とネタバラシをしたのだ。

佐藤「はしご酒で、ダウンタウン浜田雅功さんと松本人志さんのいる前でバラしてね。そのときは“お前! 営業妨害だよ!”と言ったんですが、ムロが“そろそろ打ち明けたほうが二朗さんにとってお得ですよ”と助言をくれたような気がして、それ以降、言うようにしているんです」

 人との出会いこそ一生の宝。佐藤さんは、その至言をあますことなく体現している。

■プロフィール
佐藤二朗(さとう・じろう
 1969年5月7日生、愛知県出身。96年に演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げし、全公演で作・出演。名バイプレイヤーとしてさまざまなジャンルのドラマ、映画に出演し、2008年に映画『memo』で監督デビュー。09年には初主演映画『幼獣マメシバ』で注目され、同時期に福田雄一監督作に出演、存在感を発揮する。近年は主演ドラマ『ひきこもり先生』(NHK)、大河ドラマ鎌倉殿の13人』(同)などが話題に。21年公開映画『はるヲうるひと』では原作・脚本・監督を務め、海外の映画祭で最優秀脚本賞を受賞。主演映画『さがす』(22年)では国内の映画祭で最優秀男優賞を受賞した。23年6月に書籍『心のおもらし』(朝日新聞出版)を上梓。

続きはこちら!