「自分がかつて活躍していた雑誌の表紙が目に入るのがつらくって」
「しばらくたってから、“社長が言っていたのはこれだったんだな”と、ものすごく痛感しました。大手事務所に居たからこそ、雑誌の表紙や大きな企業のCMに出させていただけていたという部分はあったんですよ。何かトラブルが起きたとき、大きな事務所の方が責任の所在も明らかで、何かと安心ですからね。
ただ頭では分かっていても、チャレンジしようと思って飛び出した私には、ショックでした。はじまりこそ自分で選んだ道ではありませんでしたが、モデルという仕事にプライドもやりがいも感じていましたから。だから、自分がかつて活躍していた雑誌の表紙が目に入るのがつらくって。5年くらいコンビニに入るのがイヤでたまりませんでしたし、雑誌コーナーから目を背けていましたね」
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「実は、こんなふうに昔話としてお話しできるようになるまでも、かなり時間がかかりました。プライドが傷つけられたつらさ、悔しさって、何かに替えたりごまかせるものじゃないんです。時が過ぎるのを、ただじっと待つしかありませんでした。そうした苦しい時間の中で、“じゃあどうすれば、そう感じずにすむんだろう”ってもがき、考え、結局は自分が強くなっていくしかないんだなって思ったんです」