1997年、NHK朝の連続テレビ小説『あぐり』のヒロインとしてデビュー。フジテレビ『WITH LOVE』、大河ドラマ『利家とまつ』など着実にキャリアを積み重ねる田中さんもその道筋では戸惑いや壁も感じたという。不安の時代を乗り越えた「CHANGE」を聞いた。【第2回/全4回】

田中美里 撮影/松島豊

 デビュー作となった朝ドラ『あぐり』を振り返って、“NHKという大きな学校に通ってるような感じだった”と語る田中美里さん。共演の先輩俳優からは学ぶことの連続だったそうだ。

「星由里子さんは義理のお母様の役だったんですけど、当時同じ事務所だったということもあり、本当に娘のように心配してくださいました。星さんと同じ日に撮影があるときは、“体力勝負だから食べなさい”ってお重いっぱいに美味しいご飯を作ってきてくださって、本当に目をかけてくださいました。

 里見浩太朗さんは、“今、みんなであぐりちゃんを支えてるけど、これからもっとつらいこともあると思う。つらいことを言われるような現場もたくさんあると思う。でも、今はみんなで全力で守るから、乗り越えて頑張りなさい”って言ってくださった言葉が忘れられないですね。

 名取裕子さんは、私が倒れるシーンで、“この倒れ方だったら放送されたときに、この子が恥ずかしい思いをする”と言って撮影を1回止めてくれて演技指導してくださったんです。朝ドラは時間勝負で、現場はどんどん撮影を進めたかったと思うんですけど、丁寧に教えてくださった……。右も左もわからない私を支えてくださった現場でしたね」