SNS時代に身を置いてきたからこその複雑な思い

──一方で、表に出る職業ゆえに、何かと風評がつきまといます。そういった評判にストレスを感じたことは?

「人って多面的な存在だと思います。世の中から見た長濱ねるも自分の一部だなと受け入れています。以前は自分の認識している人格だけが本当の自分だと思っていました。だから誤解されたり、変な切り取られ方をしたら“そうじゃないのに”とジレンマがあって。
 でも誰でも状況によって無意識に、表情も振る舞いも変えていますよね。当たり前の習慣で、どれもその人の人格の一部なんだからと考えて、悩まなくなりました。“本当の自分”って、無理に探さなくてもいいんだなと、いまは思っています」

──それは、アイドルからタレントと、芸能活動を続けてきたがゆえの感覚でしょうか。

「多分、長崎にいても、成長していくうちに自然に状況に応じた振る舞いを身に付けていたと思います。無理に人に合わせるような違和感を持ったまま、ストレスを抱いていたかもしれません。自分自身のどの面も、肯定してあげた方が楽ですね」

 17歳で普通の高校生からアイドルへと激変した彼女の人生。だがしなやかに、人を信じて自分のやりたい表現に挑んできた。それが彼女の言葉を聞いてみたくなる理由なのだろう。

長濱ねる 
1998年9月4日、長崎県生まれ。
15年に欅坂46のオーディションを受け、欅坂46とけやき坂46の1期生として活動開始。17年9月からは欅坂46専任となり、19年同年7月30日に卒業。20年7月『セブンルール』(フジテレビ系)のMCで芸能活動を再開すると、俳優業にも挑戦。NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、ドラマ『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)『院内警察』(フジテレビ系)『ウソ婚』(フジテレビ系)『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私』(日本テレビ系)『アンサンブル』(日本テレビ系)など、多数の作品に出演。23年4月からは『news zero』(日本テレビ系)のパートナーを半年間務めている。同年には連載を単行本化した初エッセイ『たゆたう』(KADOKAWA)も刊行した。
Stylist 市野沢祐大(TEN10)
Stylist Yudai Ichinosawa(TEN10) 
メイク yuko kazama

■放送情報
『いつか、ヒーロー』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:15~放送
TVer、ABEMAにて、地上波放送終了後見逃し配信
U-NEXTにて全話配信
出演:桐谷健太、宮世琉弥、長濱ねる、泉澤祐希、曽田陵介、星乃夢奈、でんでん、小関裕太、駒木根葵汰、板谷由夏、北村有起哉
脚本:林宏司
監督:アベラヒデノブ、星野和成、松本喜代美、松浦健志
チーフプロデューサー:南雄大(ABCテレビ)
プロデューサー:小森千裕(ABCテレビ)、比屋根り子(ABCテレビ)、松野千鶴子(アズバーズ)、増田玲介(アズバーズ)
主題歌:「HERO」 石崎ひゅーい(EPIC Records Japan)
制作協力:アズバーズ
制作著作:ABCテレビ
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