松平健さんの『マツケンサンバⅡ』を作曲、『身毒丸』、『ハムレット』など、数多くの舞台音楽に携わられた宮川彬良さん。6月には音楽・演奏を担当する舞台『ナツユメ』が上演される。また、『マツケンサンバⅡ』の愛される理由や、“アキラさん”として出演したNHK教育テレビ(Eテレ)の『クインテット』で抱いた思いなど、じっくりと語っていただいた。【第4回/全4回】

宮川彬良 撮影/三浦龍司

 2003年から2013年まで10年間にわたってEテレオンエアされた『クインテット』という子ども向けの音楽教養番組。宮川さんは、「アキラ」としての出演で、言葉は発することはない。番組ではあらゆる楽曲のアレンジを担当し、番組内唯一の“実写”出演者だった。

「今まで話してきたことの全部が入ってるのが『クインテット』。この番組との出合いはものすごく大きかったと思う。ちょっと大げさに言っちゃえば、それまでの人生の全部が準備だった、みたいな感じもしちゃうぐらい。とにかく撮影してるときも楽しいし、アレンジしてるときも楽しいし、打ち合わせしてるときがまた楽しい。みんなで練習してるときなんかゾクゾクしましたね。10年間、週に1回ぐらいNHKに通うんですけど、楽しかったですね。全部がうまくいったな、と、批判精神ゼロで言ってますけど(笑)。でもそれぐらい言いたくなる番組でした」

 出演もしながら、クラシック音楽はもとより、民謡、歌謡曲、アニメ主題歌、ジャズなど番組に登場するすべての編曲も担当した。

「“お忙しいなか大変でしたでしょう”と言われるんだけど、そんなことはなく楽しかったですよ。月に2回収録の日があるんですけど、その日には来れないときもあるだろう、ということで“アキラ人形”というものまで作ってくれて、彼らがそこまで僕を大切にしてくれたということだったんですよね」