インパクトのある作風と出で立ちで、９０年代カルチャーシーンでひと際異彩を放った詩人・三代目魚武濱田成夫さん。その存在感はいまも揺らぐことなく、今年２月には８年ぶりに最新詩集を上梓した。すれ違う人の目を根こそぎ奪っていくという、かつてない撮影中に聞いた、魚武さんのＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥとは。【第２回／全３回】
「ＣＨＡＮＧＥかあ、変化、転機……変化があるといえばあるしないといえばないんですけど、俺は美術の高校に通っていたんですよ」
メディア名を伝えると、詩人の三代目魚武濱田成夫さんは真剣に考えながら転機のひとつだという高校時代を振り返りはじめた。
「中学のとき、すっごい勉強ができない阿呆だったんですよ。昔、関西のそういうやつがだいたい行く私立高校があって、隣の女子校の生徒手帳に“そこの高校の生徒とは喋ったらあかん”とか書かれているような高校で。俺もそこに行くつもりでいたら、そこ、男子校やったんです。ちょっと待てやと、３年間も男しかおらへんところに行くのかと思ったらやる気なくなるやんと思って。次の日先生に“公立に行きたい”と言いに行ったんです。でも先生にオマエの学力ではダメだと言われて」
魚武さんいわく、「その地域は公立のほうが賢い学校が多かった。だから阿呆は、公立を受けるだけで兵庫県に迷惑がかかるから」と言い、そうした理由で受験すら受けさせてもらえぬ感じだったという。
「そんなときに、なぜか進路情報のリストの中に京都の美術の公立高校の案内もあって、先生が調べてくれたら、日本で一番古い美学校だと。卒業生には草間彌生さんや、人間国宝がいっぱい出ているような学校で、まず絵の試験があって、それに合格すると他府県の人間でも京都の公立試験を受けれて、それも合格したら入れる美学校で、１００人くらいしか取らないと。“じゃあそこ受けるわ”と言ったんです。俺、数学や国語に比べたら美術は嫌いちゃうかったし、先生も“まぁ、落ちるだろうけど、受験するだけ受験して、それで気が済むなら受けてみて、兵庫に迷惑かけなければええわ”って」
