自分で作り上げすぎるとダメなんです
――『LUPIN THE IIIRD』シリーズの小池健監督の作品には、ルパン三世の世界にプラスして、小池ルパンの世界観があります。演じていて楽しい瞬間はどんなときですか?
「どうなんですかね。ネットとか、今回の『銭形と2人のルパン』の特報や予告編が流れているのを聞いたとき、“オレって、こんな声なのかな。これはルパンなんじゃないかな”と思う瞬間がありましたね。自分なんでしょうけど、なんていうか。不思議な声だなと思って」

――ルパンになっていた状態を、あとで客観的に聞くからなんでしょうか。
「なんていうんですかね。かっこつけて意識して喋ろうとすると、かっこよくならないことってありますよね。ここのセリフで泣かせてやろうとか。そうやってやると通じなかったりするんですよ。だけど、『不死身の血族』の特報の最後で“別に俺たちは正義の味方じゃねえ”って言ってるんですけど、そこも一連の流れを切り取って、ポンっと特報の最後にあてられてるんです。そうすると、すごくかっこよくて。たぶん、自分でかっこつけようと思って、決めセリフとして“正義の味方じゃねえっ”とかってやったら、こうはならない。分かりますか?」
――なんとなく分かります。
「自分で作り上げすぎるとダメなんですよね」
――ちなみにアフレコはみなさんで?
「ひとりです。誰もいないんです。ひとりでブースに入って。でも後ろを見ると、20人くらいが見てるんです(苦笑)」
――そうなんですね(苦笑)。
「今回、次元(大塚明夫)とふたりで雪だらけの鉄橋から飛び込むシーンがあったんですけど、あの震えてる感じを出すのがね。僕、熱が出ちゃうんです。寒い映像を見て、寒そうだなと思うと熱を出しちゃうんです。“これは、オレだったら死ぬなぁ”とか思って。吹雪の中を歩いているシーンとかね。見ているだけで自分がそこにいる気になるんです」
なんと! そこまで入り込む栗田さんだからこそ、特報での“声”も自分で気づかぬほどに、完全にルパンだったのだろう。
(つづく)
栗田貫一(くりた・かんいち)
1958年3月3日生まれ、東京都出身。ものまねタレント、俳優、声優、ナレーター。1983年に『発表!日本ものまね大賞』(フジテレビ)にてデビュー。同局での『ものまね王座決定戦』でともにその人気・実力を競い合った清水アキラ、グッチ裕三、モト冬樹、コロッケと「ものまね四天王」と呼ばれ、「ものまねブーム」をけん引。一世を風靡した。1995年より担当している、人気アニメシリーズ『ルパン三世』の主人公、ルパン三世の声優としても知られる。
●作品情報
『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』
原作:モンキー・パンチ
監督:小池健
脚本:高橋悠也
音楽:ジェイムス下地
クリエイティブ・アドバイザー:石井克人
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
製作・著作:トムス・エンタテインメント
声の出演:栗田貫一、大塚明夫、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一、堀内賢雄
公式サイト: https://www.lupin-3rd.net/zenigata-twolupins/