「悪循環。けっこう孤独でしたね」単身で渡ったニューヨークの日々を振り返る
ニューヨークでは、日本との違いに面食らうことばかりだったと振り返る。
「ハーフあるあるだと思うんですけど、日本ではあえて自分のバックグラウンドに目を背けて大きくなる人も少なくないと思うんです。目立っちゃいけないから、息をひそめているというか。幸い私は米軍キャンプ内の学校に通っていたこともあって、いじめなどには遭わなかったけど、私に限らず自分の出自とかコンプレックスとかを、深く掘り下げずに成長する人は多いんじゃないかな。
でもアメリカ、特にニューヨークでは、歌がうまい、ダンスがうまいなんて人は山ほどいるから、それだけでは太刀打ちできません。常に、“あなたはどんな人?”“なにが特別なの?”と問われていたような気がします。そう聞かれたとき、セルフピッチができていないから“あわわわわ……”と慌ててしまい、きちんと自分の言葉で伝えられませんでした。
自分を表現できなければ、ニューヨークでは何も始まらないですし、逆に自分を出せるとチャンスをつかめる。リアリティ番組『アメリカン・アイドル』(※)でも、”俺の歌を聴いてくれ、俺がベストだ!”くらい、自信満々な感じ。その自信だけで、オーディションを通過しちゃったりするんです。私はといえば、自分のことを深く考えることを避けていたし、目立たないように生きてきたから人前で堂々と話すことができなかった。何も答えられずにいると“お高くとまってる”みたいに勘違いされることもあって……悪循環。けっこう孤独でしたね」
※アメリカで放送されている、オーディション番組。