「いままで頑張ってきた自分に自信を持っていいんだ」友人の何気ない一言から大きな気付きが

 八方ふさがりの状況からクリスタルさんを引き上げてくれたのは、友達の何気ない一言だったとか。まさに“目から鱗(うろこ)が落ちる”ような感覚だったようだ。

「意気消沈しているとき、同世代の友達とおしゃべりしていたら、“クリスタルは国籍はアメリカなのに、日本で20年近いキャリアがある。日本語でも英語でも歌の活動をしているんだから、すごいことだと思うよ”と言ってくれて。
 それまで、そんな風に考えたことがなかったからすごく驚いたし、初めてのアングルから自分を見ることができたような気分でした。“ちょっと待って! そんな考え方があるの? うん、それもそうだよな”って(笑)。もっと自分を讃(たた)えてあげるべきだと思ったんです。できないことばかりにとらわれてネガティブに自分を否定するんじゃなく、いままで頑張ってきた自分に自信を持っていいんだと思えるようになったのは、すごく大きな発見でした」

 そのときを境に、ポジティブなクリスタル・ケイが芽を出した。あとは、もう上に向かって伸びるだけだ。

「ニューヨークでの2年間は、結局アメリカデビューにつながりませんでしたが、私にとってすごく大事な時間だったし、今後につながる種もまけたと感じました。せめて日本に帰る前、何か形にしたいと思い、ライブをやることにしたんです」

Crystal Kay 撮影/冨田望