若干13歳でデビューし、伸びやかで卓越した歌声によって、センセーションを巻き起こしたクリスタル・ケイさんが活動25周年を迎えた。ハートウォームなラブソング『恋におちたら』をはじめ数多くのヒットを放ち、近年はブロードウェイミュージカルにも出演。音楽活動で培った演技力は、読売演劇⼤賞の優秀⼥優賞を授かるなど、高く評価されている。

Crystal Kay 撮影/冨田望 スタイリスト/角田今日子(ポストファウンデーション)ヘア/遠田眞里

 いつも笑顔でハッピーなオーラをまとうクリスタルさんだが、人知れず悩んだ時期もあったとか。本インタビューでは、これまであまり語られなかったであろう彼女の素顔と“THE CHANGE”を深掘りしていく!【第4回/全5回】

 単身で渡米し、2年弱をアメリカで過ごしたことが、キャリア最大の「THE CHANGE」だったと語るクリスタル・ケイさん。ニューヨークで、自分のルーツについても向き合わざるを得なくなったという。

 出自に関する問いかけはとてもデリケートなため、尋ねるかどうか正直迷いもあった。だが、そこを避けてしまってクリスタルさんの奥深い魅力を伝えることは難しいのではないか……。そう考え直し、思い切って質問を投げかけると、一瞬戸惑いを浮かべながらも、ゆっくりと口を開き自分について語り始めてくれた。

「アメリカでデビューを目指して約2年、音楽修行を頑張りましたが、それはかないませんでした。前回もお話ししたように、アメリカのアーティストはとくに、その人ならではの強みとか誰にもないようなストーリーが求められるんです。
 自分の音楽性だけでなく、アーティスト性、どう見せていくのかというパッケージとしての自分をしっかりプロデュースしないと、頭角を現すことはできません。実際、現地の音楽関係者に会うたびに、“きみの強みはいったいどこなんだ?”とか“何がきみのストーリーなの?”と聞かれました」