渡米した先で実感した、“見て見ぬふりをしてきた”自身のルーツ
「アメリカでは、常に自分をしっかりと持っていなきゃならないし、アイデンティティと向き合わなきゃならない。ですが、日本で育った“ハーフあるある”じゃないけど、あえて自分のルーツを掘り下げず、見て見ぬふりをしてきたところがありました。
心の奥でずっと、韓国とアメリカ、自分のふたつのルーツについて、どこか後ろめたさを感じていたことも理由だったと思います。横浜や横須賀などのベースキャンプの学校へ通っていたとき、周囲にハーフの子がけっこういたんですが、多くは日本人と白人のハーフ、もしくは日本人と黒人とのハーフでした。つまり、私のように韓国人と黒人のハーフはおらず、どこにいてもマイノリティなんだなっていう感覚があったんです。
それなのに、周りの子と比べて背が高いし、髪の毛もくりくりしていて目立ってしまう。そんな自分を“なんか、いやだな”って……。目指すべきロールモデルがなく、胸を張れない自分がいました。だから無意識に、自分のルーツについて追及を避けていたところがあったし、あいまいなまま、大人になっていったんだと思います。どうやって自分のルーツと折り合いをつければいいか、ずっと答えが見つからず迷っていたんですよね」