路上ライブで理不尽なことも「フリーの子に片思いしているとき、恋するのを辞める理由って、なんだと思いますか?」
「心に決めた後も、お客さんが4〜5人だったところから、15人ぐらいになった程度。微増で、目に見える変化としては大きくはありませんでしたが、今回の3枚組ベストアルバム『自由悟然』の優勝盤1曲目の『こどものうた』や、優遇盤の1曲目『駱駝』は、“腹くくって音楽でやっていくぞ”と決めた、まさにその頃に書いた曲なんです。
もちろん、周りは心配しました。応援してくれた人もいましたが、家族は“就職しなくて大丈夫か?”って言いましたし、それまで友達だったはずの人が“そういう人なんだ、へぇ……”って感じで離れていったりもした。ああ、こうやって人は手のひらを返すのかと、せちがらい感じをここからどんどん味わっていくことになりましたね」
また、路上ライブでは「理不尽に蹴られたことだってありました」という。つらい目にたびたび遭いながらも、なぜ、路上で歌うことを辞めなかったのだろう。
「よく聞かれるんですが、なんでだろうな……。たとえば、誰かに片思いし始めたとしますよね。その子のことがめちゃくちゃ好きで、その子にはまだ決まった相手はいない。フリーの子に片思いしているとき、恋するのを辞める理由って、なんだと思いますか?」
そう問われ、私はちゃんとした答えが見つけられなかった。