誰だって当事者になる可能性はある「だからこそ、僕は何事もなかったかのような顔をして、当たり前に歌を届けたい」
「僕は2016年から地元で『秋田CARAVAN MUSIC FES』を主宰しているんですが、いろんな声が届きます。たとえば、“雨が降ったのも高橋優がサボったせいだ”とか(笑)。ニュースでご覧になっている方もいると思いますが、今、秋田では熊が頻繁に出ますよね。実家の周辺にもたくさん出ています。過疎化も深刻な問題ですし、近年では、豪雨災害にも遭いました。
高橋優 撮影/冨田望
でも、そうしたことに委縮してしまい、歌わないという選択肢は僕にはないんです。何事もなかったかのように、当たり前に歌を届けたい。
僕は、いろんな被災地で歌ってきたんですが、“気の毒でしたね”とか“大変でしたね”という姿勢でその場所に行くことは、むしろ失礼なんじゃないかなって感じたんですよ。それよりは、“会いたいから来たよ”“一緒に歌いたいから来たよ”って言われたほうが、当事者の皆さんも受け入れやすいというか。
いま、誰だって当事者になる可能性はあると思うんです。だからこそ、僕は何事もなかったかのような顔をして、どこにでも歌いに行きたいんです」