始まりはマッチ箱、そして観光パンフレットへ
「一番初めは小学2年生くらいの時に親父がどっか行った時にもらってくるマッチ箱を集めたんです。でも、自発的にはできなかったんで、やめちゃったんです。元々そういうコレクター気質というのはあったと思います。
中学生の頃は旅行が好きというか、知らないところに行くのが好きだったんです。でも中学生だと、自力ではそんなにはいけないから、せめて妄想の中だけでも旅をしたいということで、全国の観光パンフレットを集め始めまして……」
どうやら、子どもの頃から筋金入りのコレクターだったようだ。でも実際に旅行に行けないのに、全国の観光パンフはどうやって集めたのかが気になる。聞いてみると、子どものような笑顔で嬉しそうに教えてくれた。
「それがですね、当時はメールなんかないですから、お小遣いというか、お年玉をもらうと、それを全部ハガキに変えて、全国の市町村役場に“観光パンフレットを送ってください”と書いて出したんです。全国市町村役場を片っ端から調べてハガキを送って、段ボール10箱くらいは集めたと思います。
中学3年の時に文化祭でこのクラスで何をしますかと言ったら、“石川くんがすごい異常に観光パンフレットを集めているのであれを使えないですか”と。じゃあ、日本の観光展をやろうと言って、クラスの文化祭の出し物に僕の資料を全部使って……、そういうのもありましたね」
段ボール10箱分の観光パンフレットとはすごい。それだけのコレクションはその後どうなったのだろうか。
「それはね。引っ越しの時に捨てました。自力で本当に旅に出られるようになったからですね。さすがに自分も大人になって、妄想しなくても行けるようになったので。その後、上京してきた時にアパートで貧乏暮らしの中でも何か集められるのかな、と。それで、本来捨てるもの、ゴミを集めるというか、取っておくというか、食べているインスタントラーメンの袋とか面白いんじゃないかと思って、集め始めたんです」
最近のブームはレトルトカレー
マッチ箱に始まり、観光パンフ、インスタント麺の袋、そしてジュースの空き缶。その他にも何か新しいコレクションはありそうだ。
「まだこれはどこにも発表してないんですけど、一応レトルトカレーのパッケージを。これも数百はあると思います。今ね、地方のローカル商品ではレトルトカレーが一番あるんですよ。その地方地方にしか売ってないものがね。だから、もうちょっと溜まったら何か発表しようかなと(笑)。
でもね、集めるものを見つけた時が一番、楽しみのピークなんです。これ知らない、なんだこれっていう。やっぱりパッケージデザインが面白いものとか、ダサいものとかが好きなんで、こう集めたいなっていう衝動に駆られるんです。かなり集まったときに、これいつか本になったらいいなと思ったことはあるんですけど、ピークは見つけた時なんですよ。
インスタントラーメンも本になりましたし、ジュースの空き缶もちょっと前に本になったんで、“ゴミも積もれば本になる”というか(笑)。それも別に最初からこれを集めて本にしようとか思っていた訳ではなく、ただ本当に自分が楽しむことをやってたら、ある程度集まっちゃって、それじゃあと……。
音楽もそれに近いかもしれないですね。とりあえず自分の好きなことをやってたら、後から結果がついてきたような感じです」