いまより優しくない現場「収録中は大きな声を出すから、“そのまま破水したらどうしよう!?”と心配しますよね」
ーー20年以上前、働く母親の働きやすさは、いかがでしたか?
「いまよりも優しくはないですね。妊娠中、お腹が大きな状態でスタジオに行ったときは『妊婦は来るなよ』と言われたこともありました。場所を取るから邪魔なのか、何かあったら怖いからという心配ゆえなのかは、いまとなってはわかりませんが。確かに収録中は大きな声を出すから、『そのまま破水したらどうしよう!?』と心配しますよね」
ーーそんなことを言う方がいらっしゃったんですね。
「そんな時代でしたね。それに、ギャランティーをもらっても、そのままベビーシッター代に消えていくので『収入もなければ、母が疲れるだけだし、子どもがさみしいだけじゃん』と虚しくなったこともありました。子どもが小学生になってから、ようやくそういった状況から"抜けられた”感覚がありましたね」
育児と仕事に全力を注いだ過去を、「身内の力を借りてなんとか乗り切りました。まあ、みんな元気でよかったです」と振り返る三石さん。その語り口から、器の大きさをしみじみ感じ入った。
つづく
みついし・ことの
1967年12月8日生まれ、東京都出身。勝田声優学院を経て1989年に声優デビュー。卒業後に劇団あかぺら倶楽部を結成し、舞台での活動も行う。着実にレギュラーやヒロイン役を演じる中、1992年に『美少女戦士セーラームーン』で主人公の月野うさぎ/セーラームーンを、1995年には『新世紀エヴァンゲリオン』で葛城ミサトを演じて国民的声優に。2005年からは『ドラえもん』で野比玉子を担当している。2021年には『リコカツ』(TBS)で初の連ドラレギュラー出演、2024年にはNHK大河ドラマ『光る君へ』に出演、ナレーターとしても活躍の場を広げている。