「東京で暮らすようになって、少しだけ温度差を感じたんです」『ミス・サンシャイン』を通して、若い世代にもつなげていきたい思い
そのひとつがAudibleでの朗読だった。水上が朗読を担当したのは、作家・吉田修一の長編小説『ミス・サンシャイン』。長崎に投下された原爆によって運命を大きく変えられてしまったかつての大スターと、心の傷を抱えた大学生の交流が描かれている。
「ぼくは高校時代を長崎で過ごしましたし、父方の親戚が広島にいることもあって、8月6日と9日は特別な日でした。しかし、東京で暮らすようになって、少しだけ温度差を感じたんです」
被爆80年を迎えた2025年、KTNテレビ長崎とTSSテレビ新広島による共同プロジェクト『つたえる つなげる ヒロシマ・ナガサキ』で、水上恒司と上白石萌音は広島と長崎、2つの被爆地を訪れ、被爆者の声に耳を傾けた。
「ぼくらみたいな若い世代が動くことに意味があると思ったし、俳優という、メディアに出ている人間が発信することで、ひとりでも多くの人に関心を持ってもらえたら……という思いでした」
先ほどの武器の話もそうだが、彼は“水上恒司”という俳優の価値を、客観的にとらえているように感じる。
「これはぼくの個人的な意見ですけど、俳優という仕事は、表現のために身体や声を訓練し、技術を身につけるのはもちろんのこと、自分自身をよく観察して、磨かなくてはならないと思っています」