15年間『会社四季報』(東洋経済新報社)全ページを読み込んでいるという分析力から、分かりやすい解説に定評があり、書籍が続々とヒットを飛ばしているトルコ出身のエコノミスト、エミン・ユルマズ氏。自身のXやYouTubeは常に高い閲覧数・再生数を誇り、経済系YouTubeチャンネルでの解説や連載も数多く行っている。今や“最も注目される文化人”の1人であるエミン氏に、日本社会の課題から経済の見通し、知られざる“好きなエンタメ”から転機=CHANGEまで、幅広く話を聞いた。【第3回/全6回】
バブル崩壊以降、長期にわたる低成長から「失われた30年」と呼ばれる日本経済。今の若年世代は失われた時代しか知らないことにもなるが、鋭い洞察力を誇るエミン氏はこの現象をどう捉えているのだろうか。
──30年も失われていることもあり、世間には「そもそもこれが真の実力」「高度成長やバブルは朝鮮戦争特需・人口ボーナスで下駄を履かせられていただけ」という声すらあります。
エミン・ユルマズ(以下同):「その見方は非常に面白いし、ある意味で理解できます。もし『あの繁栄は幻だった』という前提に立つのであれば、『ならばこれが必要』『これを発展させなきゃ』と学べるものもある。『過去の栄光をそのまま真似る必要はない』と考えを切り替えられますから。
実際、高度経済成長はともかく、80年代後半のバブル経済は間違いなく“幻”でした。あれは一時的で夢みたいな話で、同じものなんて再現できない。あの時にエクセッシブ(過剰)で無駄なものが起きたから、その後に長い痛みを伴うツケが回ってきた。当然の結果です。ですから、現在の日本をバブル期と比較すること自体、あまり意味がありません」