15年間『会社四季報』(東洋経済新報社)全ページを読み込んでいるという分析力から、分かりやすい解説に定評があり、書籍が続々とヒットを飛ばしているトルコ出身のエコノミスト、エミン・ユルマズ氏。自身のXやYouTubeは常に高い閲覧数・再生数を誇り、経済系YouTubeチャンネルでの解説や連載も数多く行っている。今や“最も注目される文化人”の1人であるエミン氏に、日本社会の課題から経済の見通し、知られざる“好きなエンタメ”から転機=CHANGEまで、幅広く話を聞いた。【第4回/全6回】

エミン・ユルマズ 撮影/松野葉子

 前回の記事で、イノベーション(技術革新)を阻害する日本独特の“規制”を問題視したエミン氏。ただ、これは昔からあった傾向ではないのだという。

──日本のビジネス界ではJTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー:伝統的日本企業)的な古い価値観、スーツ着用の義務や硬直したカルチャーなどがイノベーションを阻害しているという批判がよく聞かれます。

エミン・ユルマズ(以下同):「私は、そうした慣習が本質的な問題だとは思いません。例えば、昔の自動車メーカーの社員を描いたドキュメンタリーを見ると、最初の軽自動車を設計した技術者は、しばらく出社せず設計に没頭していたし、会社もそれを許していた。 
 イメージからは意外かもしれませんが、昔の製造業は、実は非常に融通が利いたのだと思います。今だったら、最近はリモートワークの普及で少し変わっているものの、『会社に来い』『ルールを守れ』と言われるでしょう。イノベーションを阻害しているのはここ最近のことに要因があり、日本人の伝統的な考え方や素質は関係ないと思います」