印象的なシーンは、失敗が許されないロケ

 映画の中で重要な、とあるシーンは街中での大掛かりなロケで撮影された。

「人通りが激しい場所で撮影していたので、エキストラ以外の人たちが映り込まないようにするのが大変でした。ちょうどいちょう並木がきれいな時期だったので、みんなスマホ片手に撮影していたんです。

 そのような状況で撮影に集中しなければならなかったので大変でした。撮影も2,3時間と限られた時間の中で行わなければならなかったので、周りの緊張感が伝わってくる中、“これが最後かもしれないから失敗できない”とプレッシャーを感じながら演じました」

 自然を感じられるロケのシーンが多い本作だが、門脇さんにとって記憶に残っているのは一人のシーンだという。

「綿子が温泉に出かけるシーンですね。台本には“温泉に入る”くらいしか書いていなかったのに、監督からは、“温泉に浸かった状態でしばらく出てこないでくださいね”と言われたんです。重いシーンが多かったので、なぜだかワクワクしましたね(笑)」

門脇麦 撮影/松野葉子

――『ほつれる』から、なにを感じとってほしいですか。

「この作品は、“これがテーマです! ”っていう内容ではなくて、どこかにいる、とある女性の人生の一部を切り取った日記に近いと思うんです。観察記録みたいな映画って言うのかな。だから映画の中で、何か特別なことを見つけようとするのが大切な映画ではない気がしますね」

――最後に、読者に向けてメッセージをいただけますか。

門脇麦 撮影/松野葉子

「ぜひ劇場で加藤監督の才能を感じに来てください。すべての画面に意味を持たせるカメラワークになっています。ただ会話をしているシーンを撮るだけでも、綿子が苦しい心情のシーンでは閉塞感のあるアングルにするとか、凄く気にされていました。

 映画が好きな人にはぜひ観ていただきたいですね。とくに邦画好きの方には、刺さるのではないかと思います。あと加藤監督の作品は凄いので、ぜひ加藤監督という存在を知って欲しいです。この作品を観たら、ほかの作品も絶対に気になると思います」

門脇麦(かどわきむぎ)
1992年ニューヨーク生まれ。2011年に『美咲ナンバーワン‼』(日本テレビ系)で女優デビュー。2014年に公開された『愛の渦』、『闇金ウシジマくん Part2』などの演技が評価され、第6回TAMA映画賞最優秀新進女優賞、第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第88回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞など新人各賞を受賞。2018年に公開された『止められるか、俺たちを』で主人公を演じ、第61回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。最新映画『ほつれる』では、主人公の綿子を演じる。
ヘアメイク:Yoko Fuseya(ESPER)/スタイリスト:Satoshi Takano
ドレス¥71,500、シューズ¥59,400(共にコズミックワンダー/センター・フォー・コズミックワンダー03・5774・6866)
バングル¥27,500(ヤエカ/ヤエカ アパートメント ストア03・5708・5586)
イヤーカフ¥15,400(パール オクトパシー/フィルグ ショールーム03・5357・8771)

映画『ほつれる』
主演・門脇麦 田村健太郎 染谷将太 黒木華
9月8日(金)、新宿ピカデリーほか全国公開
Ⓒ2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINÉMAS