28年間『鬼平犯科帳』で同心・木村忠吾役を演じ、最新作『本所の銕』より密偵・相模の彦十役で出演する尾美としのり。彼のTHE CHANGEに迫るーー。【第1回/全2回】
ぼくはちょっと変わった子どもでした。毎日同じ時間に同じ場所に行くのがイヤでしょうがなくて、よく仮病を使って幼稚園を休んでいたんです。炬燵の中で体温計を擦ってみたら、やりすぎて水銀が出ちゃって大騒ぎになったり(笑)。
そんなこんなで心配した母が病院に連れて行ったところ、お医者さんが、「お母さん、この子に何か好きなことをさせてください」とおっしゃるんです。そこで母から「やりたいことある?」と聞かれ、「テレビに出たい」と答えたのが、ぼくの俳優人生の始まりでした。
というのも、幼稚園で同じクラスだったマチダくんという子が、ある日お休みしたんですね。そこで、「先生、マチダくんはどうして休んだの?」って聞いたら、なんとマチダくんは児童劇団に入っていて、テレビコマーシャルの撮影があるから休んだと、先生が言うわけですよ。そうか! テレビに出たら幼稚園を休めるのか!
わが家にしてみれば決して安くはない入団費を払って、マチダくんと同じ児童劇団に入れてもらったものの、お芝居がしたいわけじゃないからレッスンにも行かず、たまにオーディションに行くといった調子でした。