お芝居というものは、ただセリフを覚えて、感情だけでやればいいんじゃないんだ
テレビに初めて出たのは、6歳くらいのときです。『1・2・3と4・5・ロク』というテレビドラマで、お寺だか神社だかの境内に座って、ランドセルを背負って本を読んでいたら、塩沢ときさんが「ヘビよ! ヘビ!!」って大騒ぎして『変な人』と思うというシーン。
この経験が面白かったので、俳優を続けようと心に決めました……と言ったらカッコいいですけど、特に面白かったわけでもなくて(笑)。でも、なにしろ高い入団費を払ってもらっているので「やめたい」とも言えず、ズルズルと続けていたぼくが、初めて“演じる”ということをちゃんと考えたのは、中学生のときに出演したドラマ人間模様『ぼくは12歳』というNHKの作品でした。
12歳で詩集を残して自ら命を絶つ光春という少年の役をやることになり、いつものようにセリフを覚えてリハーサルに行ったところ、監督(深町幸男さん)が、「おまえ、全然ダメだ!」と怒るんですよ。
え……ダメって言われても、いったいどうすれば……と、途方に暮れていたら、役のモデルになった岡真史さんが遺した詩集を渡されて、「この中の詩を全部書き写して、明日のリハーサルに来い」と言うんです。家に帰り、せっせと書き写してから寝たら、夢に岡くんが出てきて、ニコッと笑ってくれて。翌日リハーサルに行ったら、深町監督から「すごく良くなった」と褒めていただきました。
正直に言えば、ぼくは文章をそのまま書き写しただけで、特に感情移入したわけじゃありません。だけど、それをやったことによってぼくの中で何かが動いたわけです。
「そうか、お芝居というものは、ただセリフを覚えて、感情だけでやればいいんじゃないんだ」「こういう準備……というか、アプローチの仕方もあるんだ」とこのときに初めて気づいて、演じることがちょっと楽しくなりました。