24時間「江口寿史」であり続けたい

 江口さんは現在67歳だ。プライベートでの変化「THE CHANGE」について聞いてみると、

「じつは、ここ2年ぐらいはほとんど仕事場にいます。子どもが小さい頃は仕事より家庭が主でした。でもやっぱり自分が仕事に向き合う時間と家庭での時間が合わない。家にいると、どうしても家庭の「生活」に負けちゃうんです。なぜかというと、こんな僕らのような仕事より人としての日常の生活の方が大事なものだから。強いんですよ「生活」というのは。
 佐野元春言う所の「生活といううすのろ」ですよ。うすのろで強いんですよ、生活っていうやつは。歳をとり、子どもも独立したいま、仕事の時間を主にしたいんです。わがままなんですけどね。もう残り少ない制作期間を、24時間『江口寿史』でいたいという気持ちが強くなっていますね」

 世のAROUND70となれば、老後をのんびり過ごしたいという人が大半だろう。ところが江口さんときたら老後どころか、まず話していても老いを少しも感じさせない。その意欲はどこに向かっているのだろうか。