「小娘になにがわかるんだ」憧れの政治の舞台で食らった痛烈な洗礼

 県内一面積が小さい村を改革した村長自慢の美人娘。会社勤めを1年で辞め、韓国に留学していた金子さんは当時、コラムを執筆していたスポーツニッポンで大々的に出馬をアピールする。ならば、選挙戦はさぞや有利に運んだに違いない、と思われるが、彼女はこのとき、幼い頃から憧れ続けた政界の洗礼を浴びることとなる。

「父の後援会はあくまでも父の応援をしているんですね。後援会の了解も得ないうちに選挙への出馬宣言をした私は総スカンを喰らいます。“絶対にダメ。20代の小娘になにがわかるんだ”、“仁義も通さずにこのバカ野郎”と言われました」

 一度は決意した出馬を安易に取り下げることはできない。“今、新風を”と書かれたのぼり旗を掲げて、時には父にも横に立ってもらい、来る日も来る日も朝晩計4時間の街頭演説。それでも潮目は一向に変わらない。

 選挙事務所を訪れたNHKの記者に母が情勢調査の結果を尋ねても“10人中、8位か9位かと……”とつれない返事が返ってくるだけだった。

 新潟という保守的な土地で、10人中上位3名しか当選しない椅子を争う厳しい選挙。さすがに金子さんも危機感を覚え、選挙戦略の見直しに入る。

「それまでは他の候補者との差別化を図ろうと自身と同世代の有権者や女性に向けての政策を中心とした訴えを続けていたわけです。そこに、“地域の伝統を大切にしながら見直しを図るべき”との訴えを加えた。すると、今まで私には見向きもしなかった高齢有権者の方が足を止めてくれるようになりました」