自信のなさを楽しむ
山田さんは出演するだけではなく、自らディレクションをする場合も多い。制作者側に立つことで、映像作品に対する考え方の変化はあったのだろうか。
山田「演出やプロデュースをやってみて感じたのは、“たぶん目的地はここだろう”という超不確かなものを“一緒にここを目指そう”とチームを統一して前へ進む仕事なんだろうってことです。役作り、ディレクション、作詞などをする場合、たくさんのことを調べます。そして試行錯誤を重ねる、そうやって作品ってできるのだと思います。 作品をつくっている最中は正直に言って自信ないんです。“あってるかどうかわかんないけれど、たぶんこっちだろうな”と手さぐりでやっている。そういう状況を仲間と楽しむって気持ちが大事なんだろうと思います」
不確かで自信がない状況をあえて楽しむ。その姿勢は、多くの後進のクリエイターたちを勇気づけるのではないだろうか。
山田孝之(やまだたかゆき)
1983年鹿児島県出身。俳優、アーティスト、監督、プロデューサーなど多彩な顔を持つ。1999年俳優デビュー。2000年に放送されたNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』、ドラマ版『ウォーターボーイズ』(03/フジテレビ系)、主演ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(04/TBS系)などで一躍人気に。映画『電車男』(05)で映画初主演。その後、『クローズZERO』や『闇金ウシジマくん』などがシリーズ化。作品ごとの徹底した役づくりに定評がある。2010年にはアメリカのハリウッド・レポーター誌による「世界の注目俳優10人」に選出。最新映画『唄う六人の女』では、車の事故の影響である美しい森に迷い込んでしまう男、宇和島を演じる。
●作品情報
映画『唄う六人の女』
ある日突然、40年以上も会っていない父親の訃報が入り、父が遺した山を売るために生家に戻った萱島(竹野内豊)と、その土地を買いに来た開発業者の下請けの宇和島 (山田孝之)。契約の手続きを終え、人里離れた山道を車で帰っている途中に、2人は事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、男たちは身体を縄で縛られ身動きができない。そんな彼らの前に現われたのは、この森に暮らす美しい六人の女たち。何を聞いても一切答えのない彼女たちは、彼らの前で奇妙な振る舞いを続ける。異様な地に迷い込んでしまった男たちは、この場所からの脱走を図るが……。
監督:石橋義正
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈、竹中直人、他
Ⓒ2023「唄う六人の女」製作委員会
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
公開:10月27日(金)、TOHOシネマズ日比谷他、全国ロードショー
上映時間:112分
映倫指定:PG12
ヘアメイク:南辻 光宏 MITSUHIRO MINAMITSUJI
スタイリスト:飯田恵理子(CORAZON)
シャツ/¥59,400(税込み)/Y‘s(ワイズ) パンツ/¥50,600(税込み)/Y‘s(ワイズ)