『さよなら人類』で60万枚の大ヒット、伝説のバンド『たま』のパーカッションとして知られる石川浩司。02年に『猛スピードで母は』で芥川賞を受賞、07年に『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞を受賞した小説家・長嶋有。黒木華主演でドラマ化され、累計500万部突破の大ヒット作『凪のお暇』作者である漫画家・コナリミサト。豪華すぎる面々が語りあう「人生を楽しく生きるための特効薬」と、3人の『THE CHANGE』とはーー。【第3回/全7回】

コナリミサトと砂時計 撮影/有坂政晴

「やっぱり『イカ天』のことは聞いちゃうな~!」抑えていた長嶋さんの感情が爆発します。

 石川さんの飾らない人柄で、緊張感が溶けてきた、いや、溶けまくる長嶋さん。だんだん少年の顔つきに戻っていきます。石川さんに訪れた『THE CHANGE』のとき、『イカ天』から長嶋さんが得た教訓とは?

コナリ「『イカ天』の出番の直前に障子の裏にいるときってどんな気持ちだったんですか?」

石川「演奏自体はその日の昼間に撮ってるから、あとは審査を待つだけなんで、そんなに緊張しなかったな」

コナリ「あのシルエットに映ってテレビに出るのって、当時のバンドをやってる人にとってすごい憧れだったと思うんですよね」

長嶋「障子の裏に立つのは最初の1週目だけですよね」

石川「そうですね、キングになったら2週目以降はVIP席があって、悠然と座っててね。そこだけお茶菓子とか置いてあるんだよね」

長嶋(少年のような顔になり)「やっぱり『イカ天』のことは聞いちゃうな~! 散々聞かれてるだろうから控えようと思ってたけど!」

石川「いやいや全然いいですよ!」

長嶋(『イカ天』の話が解禁になったので、さらに熱量があがり)「漫画でも触れてたんですけど、5週勝ち抜くとグランドイカ天キングという局面で、それまでは作り込んだ曲、聞かせる曲だったのに、いきなり棒立ちで4人横並びで!」

石川「僕の『まちあわせ』ですね」

長嶋「度肝を抜かれたというか、あぜんとしたんですよ! 高校生の僕にも負けにいったって分かりましたよ!」

石川「勝ちにいったらあの曲は選ばないもんね笑」

長嶋「いい曲なんだけど、勝負曲じゃないのは分かりました」

石川「でもそれは勝っても負けても最後だからもういいやと思って。そしたらもうとことんみんなをギャフンと言わせようっていうことでね」

長嶋(少年のような顔で)「かっこいい~!」

コナリ「すごいですよね~!」