70歳になるのに、まだ新しい扉があるって思っている
「もちろんいっぱいありますね。僕よりも先輩だけれど、松本隆さんの世界観は素晴らしいって思う。松本さんは『はっぴいえんど』ではドラムだったから、やっぱり根底がロック世代。はっぴいえんどが登場した頃から、言葉に対するアプローチが変わってきた。より一層、曲と歌詞をどうやってうまく合わせていくのかって考えるようになったと思うんですよ」
――数多い作品の中でも、思い入れがある曲を選ぶなら何でしょうか。
「事務所(アミューズ)のYouTubeでも、自分の作品について語っているのだけれど、思い入れがある曲はいっぱいありますね。今日、語ったなかだとシブがき隊の『NAI・NAI 16』は自分の中にあった殻が破れた作品だった。布袋の『POISON』も、自分にとっては思い入れのある作品だね」
これだけ幅広いジャンルのアーティストを手掛けてきた森さんが、今、興味がある人は誰なのだろうか。
「いや、それはもうね沢山いますね。若いアーティストがどんどん出てくる中で、素晴らしい人たちも多い。僕と同世代は悲しいことに、亡くなってしまったりして無常観を感じています。でも若い世代が僕を求めてくれたら、もちろん喜んで受けます。僕にとっても新しい扉が開けると思う。
70歳になるのに、まだ新しい扉があるって思っているところが、子どもっぽいのかな(笑)。本来ならば、老後や終活を考える年齢なのでしょうね」
森さんの中で、歌詞に対しての揺るがないポリシーがある。70歳の誕生日に出版される詩集『感情の配線』と、楽曲の歌詞とはどういう違いがあるのだろうか。