「なんでだろう」が全国区となった瞬間
トモ「『爆笑オンエアバトル』（ＮＨＫ）のディレクターの方が、たまたま僕らをライブで観たらしいんです。僕らの結成が９８年で、『オンバト』の放送開始は９９年春。だからちょうど番組を作るにあたって制作陣の方たちがいろんなお笑いライブに行って出演者を探していた時期だったんでしょうね」
漫才でもコントでもない、二人でやる音楽ネタという珍しさがディレクターの目に留まる。すぐにＮＨＫから事務所に連絡が入り、あれよあれよと初回収録の出演が決まった。
テツ「収録の少し前の時期にＮＨＫへ行ってディレクターさんに挨拶をしたら“装置ができているから、ちょっと見てみる？”って言われて、ボールを転がすあの装置を見せてもらいました。衝撃でしたね。“え？ ゴルフボールを流して得点入れて審査するの？”って。それはすごくよく覚えています」
その後『オンバト』の風景としておなじみになる、観客審査員が手元からバケツめがけてボールを転がすレーンがそこにあった。そして迎えた初収録日、現場は緊張感に包まれていた。
テツ「出ている僕たちももちろんですけど、お客さんも初めてのことだから勝手がわからないんですよね。一方で“審査員としてちゃんとしなきゃ”ってプレッシャーもあっただろうし、みんな真剣でした。普通のお笑いライブのお客さんとはまた違った特殊さだった気がしますね」
トモ「初めての収録の日は２本撮りで、僕らは２本目だったんですよ。当時は１本につき１２組出てたから、お客さんは合計２４組のネタを見なきゃいけない。僕らの出番は１１番目くらいで、その時点で２０組以上見てるからみんな疲れてたよね（笑）」
披露したのは「小学校のときのなんでだろう」。４３９ＫＢ（キロバトル）を獲得し、１２組中３位でオンエアを勝ち取る（１９９９年４月３日放送）。ここから二人の未来は大きく拓けていった――。
テツａｎｄトモ
●中本哲也（なかもと・てつや）
１９７０年５月９日生まれ。滋賀県出身。
●石澤智幸（いしざわ・ともゆき）
１９７０年５月１０日生まれ。山形県出身。
日本大学藝術学部演劇学科の同級生同士で１９９８年に結成。１９９９年の放送開始と同時に『爆笑オンエアバトル』（ＮＨＫ）に出演し、常連に。『Ｍ-１グランプリ』２００２年ファイナリスト。２００３年に『テツａｎｄトモのなんでだろう～両さんバージョン～』などをきっかけにブレイク。現在もお笑いと歌で全国各地のイベント等に出演を重ねる。レギュラー番組に『テツａｎｄトモのなんでだラジオ！』（山形放送）がある。
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