理屈で説いてその後で褒める
「ただ、早く洗いなよとか、自分のタイミングを彼に押しつけるから、解決しないのかもって思ったんです。それで今度は、“食べ終わったお皿は、水につけておくと時間がたっても洗いやすいんじゃない?”って、言い方をしたんです。
これって、なにも間違っていないじゃないですか。そうしたら、彼はなにも反論せずに素直に聞いてくれたんです。そこからだんだん、お皿を水につける頻度が高くなって。今度は、“すごい、たまにでいいから、洗ってくれたらうれしいなって言うようにしたら、たまに洗うようになってくれたんです。そうしたらさらに、“洗ってくれたのー、ありがとう”って言って、“私、コーヒー入れるね”って喜んだら、まんざらでもない感じになって、ちょっとずつ洗ってくれる頻度があがっていったんです」
まずは理屈で納得してもらう。その後にほめて継続するようにする。
「こうすればいいでしょ、みたいにこっちの考えを押しつけると、彼もなにか言ってきますけど、こちらに筋が通っていたら、基本、反論はしない人なんですよ。あと、褒められるとうれしいタイプなんですよ。褒めたら伸びる子なんですね」
ひろゆきさんがお皿を洗うようになるまで、ゆかさんは相当な苦労を重ねてきたのだ。
ひろゆきプロジェクトは進行中
しかし、そんな苦労をせずに、自分でやってしまうという手もあったのでは?
「たぶん長く一緒にいるとなると、変わってもらわないと困るのは自分だと思ったんですよ。介護が必要な年齢になったら、夫婦のどっちかが必ず大変な思いをするじゃないですか。そうなったときに、家事とかよけいなことで苦労したくないし、今できないことを少しでもできるようにさせたかったんです。そのプロジェクトは今も進行中です。だから、20年っていう時間で見ると、彼はすごくいろんなことができるようになっているんです」
一方で、ひろゆきさんが変わらないのは、出不精なところ。フランスに移住してから、ますます家にこもることが多くなったという。
「家が大好きで、家でダラダラしてゲームできたら幸せみたいな感じの人なので。フランスにいると、打ち合わせとかも全部、オンラインでできてしまうので、いつも家にいるなぁって感じですね。私的にはいようといまいとどっちでもいいんですけど、あまり家にいすぎると、健康に良くないんじゃないかなとは思いますね」
ゆかさんの心配はつきそうにない。
西村ゆか(にしむらゆか)
1978年東京都生まれ。インターキュー株式会社(現GMOインターネット株式会社)、ヤフー株式会社勤務を経て独立。現在はフリーのWEBディレクターとして活動。2008年に西村博之(ひろゆき)と結婚式を挙げ、2014年に入籍してフランスへ移住。著書は『だんな様はひろゆき』(原作・西村ゆか/漫画・wako)。近著は『転んで起きて 毒親 夫婦 お金 仕事 夢 の答え』(徳間書店)。