SNSの𠮟咤激励もバネに

――当時の仲間たちとは、いまも交流はあるのでしょうか。

「なかなかないんですけどね。連絡を取り合うメンバーも何人かいますし、気にかけてますよ。特にダブルスでの僕の相棒だったこうちゃん(桑野晃輔)とは、“ご飯に行こう”とか、やりとりしています。なかなか実現はできていないのですが。『テニミュ』は自分にとってすごく重要な作品だし、本当にゼロからのスタートでした。こうちゃんはすでにお仕事も結構されていて経験豊富だったので、当時からいろいろなことを教えてもらって、助けてもらいました」

白洲迅 撮影/冨田望

――観客の目の前で芝居をする、“舞台”というエンターテインメントだったことも、「芝居をやっていこう」と気持ちを育てる助けになりましたか?

「お客さんに応援してもらったのは、大きかったと思います。『テニスの王子様』は、いわゆる2.5次元舞台の走りですが、その魅力のひとつは、僕らの成長を含めて応援していただけるコンテンツということもあると思います。だから登竜門と言っていただいたりもする。観客の存在は大きいですね。応援だけじゃなく、いろいろな声を受け止める機会にもなりました」

――いろいろな声というのは?

「言うべきことじゃないかもしれないけれど、だいたいがSNSですが、叱咤激励を含めて、いろいろな人からさまざまな声が飛んできました。そういったことに関しても、走りだったかもしれません。それだけみなさんのキャラクターへの愛が強い作品だったから。でも、受け入れなきゃいけないものもあれば、しっかりと変わらない自分を持たなきゃいけないこともある。そうした声を受ける経験も、いま思えば、そのときからできてよかったのかなと思います」

デビュー作から年数をまたいで同じ役柄に向き合い、「濃密な、大切な時間」を育んでいった白洲さん。人前に立つことが苦手だったという青年が、デビューから13年。舞台に、映像作品にと活躍している。

白洲迅(しらす・じん)
1992年11月1日生まれ、東京都出身。’11年、舞台『ミュージカル テニスの王子様』の鳳長太郎役でデビュー。’13年には『押忍!!ふんどし部!』(テレビ神奈川ほか)にてドラマ初主演。ドラマ、映画、舞台と活躍している。主な出演作にドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)、『刑事7人』(テレビ朝日系)シリーズ、『僕はまだ君を愛さないことができる』(フジテレビ)、『リコカツ』(TBS系)、大河ドラマどうする家康』(NHK)、『君が心をくれたから』(フジテレビ系)、映画『HiGH&LOW THE WORST』(2019年)『向田理髪店』(2022)など。’24年5月公演の吉田鋼太郎演出、彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』でホレーシオを演じる。

ヘアメイク :松田陵(Y’s C) 
スタイリスト:持田洋輔

ジャケット¥187,000・Tシャツ¥17,600・パンツ¥52,800/コーチ/コーチ・カスタマーサービス・ジャパン(0121-556-936)靴¥35,200/アルフレッド・バニスター/アルフレッド・バニスター ルミネエスト新宿店(03-6380-0310)

●作品情報
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』
【原作】:W.シェイクスピア
【演出】:吉田鋼太郎
【出演】:柿澤勇人、北香那、白洲迅、渡部豪太、豊田裕大、正名僕蔵、高橋ひとみ、吉田鋼太郎 ほか
【HP】https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/98587/