素顔は故郷・和歌山に住んでいたころの「坂本冬美」のまま
数々の難関を突破して、故郷・和歌山の空港に降り立った瞬間、歌手「坂本冬美」は、ひとりの「坂本冬美」になる。
「和歌山にいるときは、ご近所の『冬美ちゃん』だし、同級生にとっては『冬美』。キレイなお衣装を着て、華やかなライトで照らしてもらっていても、私の原点はここにある。ここで生まれ育った、歌が大好きな坂本冬美。みなさんに応援してもらえたからこれまで歌ってくることができただけの坂本冬美だと、帰るたびに感じます」
休みが取れたら故郷へ帰り、和歌山の空気を胸いっぱいに吸い込む。スーパーへ買い物に行くと「あら、冬美ちゃん、帰って来てたの」と、普通に声をかけられる。それが、この上なく幸せだと、穏やかな表情で語る。
「故郷があって、帰ればいつも変わらずに接してくれる人たちがいるから、私はこの道を歩んで来られた。それを忘れてしまったら、私はもう終わりですね。そう思います」
これまで、坂本冬美には数々の試練と転機があった。デビュー10年後に、最愛の父親が事故で他界。恩師との永遠の別れ。自身の闘病と、芸能活動一時休止。復帰と、最大のヒット曲『また君に恋してる』との出合い。そして、‘22年に母親が、’23年には弟が相次いでこの世を去った。
しかし、故郷和歌山は、いつも温かく迎え入れてくれる。
「この先も、この声が続く限り歌っていきたいです。他に、私が生きていける場所はないですから。少しでも長く歌っていけたら、これほど幸せなことはないですね」
坂本冬美(さかもと・ふゆみ)
1967年3月30日生まれ、和歌山県出身。‘86年、NHK『勝ち抜き歌謡天国』和歌山大会で名人となり、同番組で歌唱指導をしていた猪俣公章氏のすすめで上京。内弟子を経て’87年に『あばれ太鼓』でデビュー。‘88年、『祝い酒』でNHK紅白歌合戦に初出場。その後、RCサクセションのアルバムに参加し、’91年には、忌野清志郎、細野晴臣とロックユニットHISを結成して活動の場を大きく広げる。‘09年に発表した『また君に恋してる』は第52回日本レコード大賞で特別賞を受賞するなど、記録的なヒットとなった。今年2024年は2月21日にシングル『ほろ酔い満月』を、6月26日に最新カバーアルバム『想いびと』をリリース。
●作品情報
ニューアルバム『想いびと』
2024年6月26日発売
価格:3500円(税別3182円)
さまざまな時代を歩んできた心の中にある「想い」をコンセプトに、あの日、あのとき、そしてあの場所。大切な「想い」を歌に込めたハートウォーミングなアルバム。
収録曲
1 「ひまわりの約束」
2 「恋の予感」
3 「サクラ、散ル…」
4 「月」
5 「千の風になって」
6 「身も心も」
7 「One more time,One more chance」
8 「Oh! クラウディア」
9 「心 はなれて」
10 「花瓶の花」