タカラジェンヌといえば、男役はきらびやかな青年、女役はお姫様のようなヒロインを演じているというイメージを持っている方も多いだろう。だが、天真みちるは、宝塚歌劇団でおじさん役を極め「宝塚の佐藤二朗」と呼ばれることもある異色の存在だ。そんな天真さんは退団後に会社員になり、その後、フリーランスとして独立。あまりに多様な「THE CHANGE」を経験してきた。変化を恐れず、常にチャレンジを続ける天真さんの秘密とはーー。【第1回/全5回】

天真みちる 撮影/川しまゆうこ

 雲一つない晴天のなか、天真みちるさんが取材陣の前に現れた。サマーニットのベレー帽、鶴の総柄のシャツに黒いワイドパンツを身にまとい、どこかボーイッシュな印象のファッション。それもそのはず、天真さんは元宝塚歌劇団の男役。06年に宝塚歌劇団に入団後、花組に配属され、おじさん役が多い実力派の男役スターとして活躍。18年10月に惜しまれながら退団した。

 そんな天真さんは退団の2週間後には会社員として働きだした。宝塚歌劇団では、ほぼ途切れることなく公演期間と稽古期間が続く。その生活を約12年間続けた天真さんだが、新天地に移る前に休みをとる選択肢はなかったのだろうか。

「そうなんですよ! よくよく聞いたら“とりあえずここまで一生懸命走ってきたから、この1年ちょっと見つめ直そうかな”みたいな感じで休む人も多いみたいで。

 私はちょうど30で宝塚を卒業したんですけど、自分を見つめ直すというよりは、そもそも次になんとなくやっていきたい方向があって、決断したんです。

 もちろん、宝塚歌劇団という場所で“走り切ったな”という思いが大きくて卒業したんですけど、次に進みたい道を考えたとき、新卒の人たちと比べたら、年齢的な部分では遅れを取っているので。単純に、休んでいるのが怖かった、というのもあります」