学生時代から、おじさん役のモノマネをしていた

 これは後付けかもしれないんですが、いま思えば、私は姿月さんに憧れつつ、一番モノマネしてたのは姿月さんではなく、姿月さんが主演された『激情ーホセとカルメン―』というお芝居に出てくる“おじさん”でした。ものすごいドレッドヘアで、ひげ面の。

 いさかいのシーンで、相手に“あんたなぁ、何様なんだよ!”って言っているのが当時から一番印象に残っていて、“一番自分がやりたかったのそこじゃん”って、気がつきました(笑)。そこからは無我夢中で“おじさん役”を突き詰めていきました。すると5年目ぐらいのときに、劇団の常務理事の方から“脇役のトップスターになれ”と声をかけていただいたんです。すごくうれしかったです」

 小学生のころからおじさん役のモノマネを多くやっていたというのだから、天真さんの “脇役のトップスター”としての才能は宝塚音楽学校に入るよりも前から出現していたのだろう。

※大劇場公演について:宝塚歌劇では、花、月、雪、星、宙(そら)の五組が、本拠地である兵庫県宝塚市の宝塚大劇場と、東京・日比谷の東京宝塚劇場で順繰りに公演を行う。それぞれの組は、宝塚と東京で約1か月半同じ演目を上演するのだが、ほかの組の公演中は全国ツアーやディナーショー、トップスターではない若手が主演を務める小規模な公演を行うことが通例。

■天真みちる(てんま・みちる)
 11月18日生、神奈川県厚木市出身。06年に宝塚歌劇団に入団、その後花組に配属され男役スターとして活躍。在団中は確かな演技力とユニークな存在感から、「おじさん役」を多数演じ好評を博す。18年10月に宝塚歌劇団を退団後は21年に『エリザベート TAKARAZUKA 25周年スペシャル・ガラ・コンサート』出演、21年のアニメ『ワッチャプリマジ!』(テレビ東京系)の各話脚本執筆、エッセイの発表など多岐にわたる活躍をしている。著書に『こう見えて元タカラジェンヌです』、『こう見えて元タカラジェンヌです 遅れてきた社会人篇』(ともに左右社)。
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