天真みちるにとっての「THE CHANGE」とは?

 天真さんは宝塚歌劇団の男役から会社員、会社員からフリーランスのエンターテイナー、脚本家、余興芸人……とさまざまな「THE CHANGE」を経験した。そこで「変化、チェンジ」という言葉から思い浮かぶものをたずねると、

「ガラッと雰囲気変えるのもチェンジなんですけど、視点を少し変えるだけでも物事ってスムーズにうまくいったりするものですよね。小さな変化がゆくゆく大きな変化になっていく、ということを身をもって経験してきたので、アングルを変えることですね」という答えが返ってきた。

天真みちる 撮影/川しまゆうこ

 天真さんが宝塚音楽学校に入学したのは04年のこと。小学生のときに宙組トップスターの姿月あさとさんに一目ぼれし、トップスターを目指して難関をくぐり抜けた。

「最初はやっぱり、姿月さんみたいなトップスターを目指して宝塚を受験しました。ただ、受験直前に姿月さんが退団されてしまって。

 それでも入団すればどこかで姿月さんにお会いできるだろうと思っていたら、ちょうど私が入った年に宝塚歌劇の90周年イベントで、ご一緒できてしまったんです。思いのほか早く憧れの人に会うという夢が叶っちゃって。姿月さんのようなトップスターを目指していたのではなく、姿月さんに会いたかっただけだったのかもしれない。それに気づいたとき、何を目標にしたいかがあいまいになってしまいました。そうこうしているうちにも、同期はみんなスターを目指して進んでいく。私は一歩も進めないまま、差は開いていきました」