「クスッと笑いながら、ついホロっと泣いてしまう」……この３月に惜しまれつつレギュラー放送を終了したＴＢＳ『不夜城はなぜ回る』。この番組は真夜中に明かりが灯っている自宅などを訪問し、そこにいる人の話を聞くというバラエティー番組だ。２０２２年１０月に放送が開始されると業界内で話題沸騰。司会を務める東野幸治（５５）が「今年見たドキュメンタリーで一番面白かった」と番組内で絶賛したこともあるほどだ。そんな番組を企画し、自ら出演しながら総合演出も務めるのは、大前プジョルジョ健太さん。わずか２８歳にしていま業界内から熱い視線を送られている注目のテレビマンだ。
大阪の下町育ちで日本人の父とインドネシア人の母を持つ「名物ディレクター・プジョ」の「ＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥ」、重要な変化とはなんだったのか。いかにしてオンリー・ワンの魅力的な番組演出術は生み出されたのか。
ところで、なぜ大前プジョルジョ健太さんは、テレビマンになったのだろうか。聞いてみるとその大きなきっかけとなった「ＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥ」は、中学生の時に経験した東日本大震災だった。それをきっかけに気がついた「２つのこと」がプジョルジョさんをテレビ業界に導いたのだという。
「大阪に住んでいた自分にとって震災はとても“遠い話”だったんです。これではいけないと思って大学生のころ、ひとりでヒッチハイクをして東北まで行きました。被災地の人たちはきっとみんな力を合わせて頑張っているんだろうと思ったら、仮設住宅の住民の間にも軋轢があることを知って、衝撃でした。
でも、そんな人たちもみんなエンターテインメントの話をしているときは、“あの曲良かったね”とか“あの番組面白かったね”とか、ひとつになれている。エンターテインメントのスゴさを知りました」
