“ああすれば良かった”とは思わない

 あるインタビューでは「悩んでいる時間も必要だと思えるようになってきた」と語っていたが……。

「そう思うのは昔からですね。嫌なことや落ち込むこともあるじゃないですか。でも、それも自分の人生に必要な時間だと思って受け入れるようになってきました」

──”昔から”というのは?

「この仕事を始めてからです。私の中では “人生というのは全部の出来事が決まっている”と考えるところがあって。起きる出来事とか、どういう人に出会うとか……そういうことが全部決まっているんじゃないかって思うんです。だから嫌なことが起きても、“それは決まっていたことだから……”という感じで受け入れられるようになったと言うんでしょうか」

──つまり、それは運命として、ということですか?

「そういう感じです。失敗しても、それは人生で決まっている出来事のひとつだと思うと、後悔もあまりしないんですよ。“ああすれば良かった”と思わないんです」

 アイドル時代は多忙な日々を送ってきた。2011年に乃木坂46の一期生としてデビュー。『気づいたら片想い』(14年)で初のセンターを務め、グループ在籍中は握手会の売り上げで1位を誇った。15年からは女性ファッション誌で専属モデルとしても活動。18年に放映されたドラマ『電影少女~VIDEO GIRL AI 2018~』ではソロで初主演をこなし、その年グループを卒業した。

「実際、スケジュールが過密でしたので、そんな日々がずっと続いてしまうのは漠然と“良くないなぁ”と思っていました。やっぱり余裕もなくなってきて、“自分が無くなる”という感覚もありました。ひとつの作品が終わったら、すぐに次ってなると、お仕事がず~っと繋がっている感じになって、心身共に疲弊してしまうんです。そんな時に“これは決まっていることだからしょうがない”というふうに楽観的に捉えるようになったら、少し楽になってきたんです」

 西野さんは、2019年2月に行われた卒業コンサートをもってアイドルとしての活動にピリオドを打つ。この時、25歳。同じ年に放送されたドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)ではファンならずとも多くの視聴者に予想を大きく上回る衝撃を与え、2025年1月17日に公開される映画『君の忘れ方』では、主人公の亡くなった恋人の“幻影”を演じ、俳優としての新たな魅力を開花させた。次はどんなサプライズを見せてくれるのか。その期待は大きい。

西野七瀬(にしの・ななせ)
1994年5月25日生まれ、大阪府出身。O型。T159㎝。2011 年にアイドルグループ「乃⽊坂 46」のメンバーとしてキャリアをスタート。18 年にグループを卒業後、本格的に俳優として活動。ドラマ『あなたの番です』(19)での演技で注⽬を集め、その後も数々のドラマや映画に出演。主な出演映画に、『あさひなぐ』(17)、『シン・仮⾯ライダー』(23)、『ある閉ざされた雪の⼭荘で』(24)、『52 ヘルツのクジラたち』(24)、『帰ってきた あぶない刑事』(24)など。『孤狼の⾎ LEVEL2』(21)では⽇本アカデミー賞優秀助演⼥優賞と新⼈俳優賞を受賞し、『恋は光』(22)でヨコハマ映画祭最優秀新⼈賞を受賞。公開待機作に髙橋文哉とW主演を務める『少年と⽝』(3月20日公開予定)がある。

【作品情報】
映画『君の忘れ方』
出演:坂東龍汰 西野七瀬 円井わん 小久保寿人 森優作 秋本奈緒美 津田寛治 岡田義徳 風間杜夫(友情出演) 南 果歩
監督・脚本:作道 雄
エンディング歌唱:坂本美雨
1月17日(金)より全国公開
配給:ラビットハウス
Ⓒ「君の忘れ方」製作委員会 2024 
公式サイト https://kiminowasurekata.com/