『ウエスト・サイド・ストーリー』の音楽に感動した小学4年生の経験
今では、クラシックの指揮や解説など、その活動の中心にはクラシック音楽がある宮川さんだが、子どもの頃は、テレビから流れる父の作る音楽を聴き、家の中で流れるジャズを聴き育ったという。むしろクラシックは縁遠い存在だった。
「たぶん、それは両親がクラシックから遠い人だったからですよね。父は元々ジャズピアニストでしたし、母はそのファン第1号みたいな人だったから、クラシックは、“なんかちょっとイケてないね”、“何をあんな深刻になっちゃって”みたいな目で見てたんです」
クラシック音楽に対する思いが変化したのはどんなきっかけだったのだろう。
「小学4年ぐらいのときに、レナード・バーンスタインが作曲をした『ウエスト・サイド・ストーリー』という映画を観て、もう夢中になっちゃったんです。たとえ台詞の言語がわからなくても、観ている人に物語が伝わって、そして涙が出てしまうような、そんな音楽を作る人になりたいと思うように。
でも、そのためにはクラシックの勉強をしないとそんな人にはなれないんじゃないかと思うようになったんですね。東京藝術大学の作曲科に受かるぐらいのことがないと、レナード・バーンスタインには絶対なれないぞ、と。それで高校生ぐらいから勉強して、浪人もして、クラシックの基礎はどうなってるか、ということをみっちりと学んだら、それがもうすごく興味深くて……」
