実は“クラシックファン”ではなく“ロック少年”だった
とはいえ、「僕は今でもいわゆる“クラシックファン”でもないんですよ。コンサートに行く頻度も1年に片手ぐらい」と話す。でも、“クラシック好き”ではなかったからこそ、感じ取ることができたクラシックの魅力があった。
「クラシックの基礎の基礎まで探って行くと、ブラームスやベートーヴェンやバッハのそのまた元はどうなってるんだ?ってどんどん思うようになるんですよね。ブラームスはベートーヴェンを勉強してああなったんだし、ベートーヴェンがバッハを研究していた面は大雑把に言うとあるわけで。じゃあ、さらにバッハは何を研究してた?と。それをずっと掘っていくと、宇宙論、少なくとも哲学にはぶち当たるんです。
ソナタ形式(古典派音楽の楽曲形式の一つ)って普通にみんな言ってるけど、それが何を表してるかということを誰も論じない。でも僕にとってはそこにめちゃくちゃ興味があるわけで、掘り下げると見えてくるものがある。そこに興味がいくと、僕みたいな、単にロックが好きだった少年もどんどんクラシックに共感できるんです」
その入り口があったからこそ、クラシックの素養がない人も楽しめる楽曲の解釈や、クラシックへの興味を掻き立てる解説ができるのかもしれない。
「勉強してきたものをそのまま“芸“にしちゃったんで(笑)」
宮川さんが「芸」と表現する、“クラシックを一般に伝える”という類まれなスタンスは、テレビを中心に定着する。そんな宮川さんの存在を大きく広めたのが『マツケンサンバⅡ』の大ヒットだった。
みやがわ・あきら
1961年2月18日生。東京都出身。作曲家、編曲家。舞台やアニメ、映像作品など数多くの音楽を担当し、蜷川幸雄演出作品の舞台『身毒丸』と舞台『ハムレット』で読売演劇大賞のスタッフ賞を受賞。2003年〜2013年にかけてNHK教育テレビの番組『クインテット』に出演し、好評を博した。父は作曲家の宮川泰。
Shake&Speare!!Stage『ナツユメ』
原作:ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』(松岡和子 訳)
音楽:宮川彬良
脚本・演出:木村龍之介
2025年6月6日(金)~6月8日(日)
KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
公式サイト:https://www.natsuyume2025.com/