松平健さんの『マツケンサンバⅡ』を作曲、『身毒丸』、『ハムレット』など、数多くの舞台音楽に携わられた宮川彬良さん。6月には音楽・演奏を担当する舞台『ナツユメ』が上演される。また、『マツケンサンバⅡ』の愛される理由や、“アキラさん”として出演したNHK教育テレビ(Eテレ)の『クインテット』で抱いた思いなど、じっくりと語っていただいた。

大学中退後、東京ディズニーランドや劇団四季などショーの音楽を作り、その後、1996年には『身毒丸』で高い評価を受け、『ハムレット』、『ムサシ』など数多くの舞台音楽に携わる。アニメの音楽や大ヒット曲『マツケンサンバⅡ』の作曲などその活躍は多岐にわたった。
「1990年代……30代の頃というのは本当に必死になって自分の持ってるものを全て出してやろうと思っている時代でしたね。大きな仕事を任されたとき“ヒット作が生まれる可能性があるよな”って悪魔がささやくんですよね(笑)。
だけど、その悪魔のささやきは厄介なもので、売り上げとか、そこだけに意識が向くとどんどんズレちゃう。大きく当てることが望みという思いはどこかにあるんだけど、かといってそれの権化みたいにはなりたくなかった。なので地道に、やっていきました。そうして地味に裏方として作ってたものがひょんなことから評価されて、というのがいくつかありましたね」