誰しも平等に老いるのは、クリエイターにとっても例外ではありません。自身の心身からくる老いに抗うのか受け入れるのか、そしてクリエイションへの影響……。老いと仕事(クリエイション)の関係性、ひいては男から見る老いの景色と女から見える景色はどのようなものなのでしょうか。偶然、お二人とも、自身をテーマにした作品を上梓したばかり。今回、同年代であり、お互いの作品のファンだと話す漫画家・ひうらさとるさん(58歳)と、編集者であり大学教授も務める伊藤ガビンさん(62歳)に、それぞれの近況と老いについて伺いました。【第3回/全4回】

ーークリエイターのお二人にとって、「老い」が、お二人が制作する内容に影響を与えることはあるのでしょうか。
ひうら:私は身の回りにあることや起きたことからインスピレーションを貰うことが多いので、今後は老いも一つのテーマになるような気もします。でも、画風については、今どきの絵をすごく参考にしていますね。身体的な加齢には抗ってないんですけど、絵柄についてはめっちゃ抗ってる。それこそ娘に「こういう絵は古い?」「このタッチはいまっぽい?」とすごく聞くし。色の塗り方ひとつで時代感が変わるんで、その部分は新しいものを取り込んで、今の流行から遅れないようにしないといけないと思ってますね。
ガビン:絵柄のアップデートをいまもするんですね。
ひうら:もちろん!めちゃめちゃ頑張ってます。「フィール・ヤング」で始まった新連載「美男と金子」も、だいぶ頑張って絵の若作りをしてます(笑)。
ひうら:私もデジタルの恩恵をすごく受けています。デジタル作画で、絵を描く時にパーツを拡大できる機能なんかには、すごく助けられてる。紙に書いていたら、たぶんいまのペースだったり、新しいチャレンジは無理だったと思う。