男闘呼組のカッコいいギタリストは、いまや「彼が出る芝居は、絶対に間違いない」と演劇ファンから太鼓判を押される舞台俳優でもある。女性からはもちろん、男性からも憧れられる男、岡本健一のTHE CHANGEとは──。【第1回/全4回】

岡本健一 撮影/有坂政晴

 舞台『みんな鳥になって』の稽古前、私服のまま取材スペースに来てくれた岡本健一は、上から下までオールブラック。Tシャツに空いた穴までがカッコよくて、思わず「ロックですね」と声をかけてしまった。

「ロックなんて、もう30年くらいやってなかったんですよ。ほぼ、舞台しかやっていない」

 1988年にロックバンド・男闘呼組のメンバーとしてデビューした岡本は、翌1989年に『唐版 滝の白糸』という作品で初舞台を踏む。演出は、蜷川幸雄だった。

「とにかく、何もかもが衝撃的でした。稽古場でみっちり作り上げてから劇場入りし、舞台稽古を経て本番、という時間の流れ。演劇人と呼ばれる人たちが持つ独特の雰囲気。それまで経験した、テレビドラマや映画とは、まったく違う空気感に魅了されてしまって……」