確かな演技力で、数多くの映画やドラマに出演している俳優・池松壮亮(34)。10代から子役として活動し、劇団四季のミュージカル『ライオンキング』のヤングシンバ役で俳優デビュー。その2年後には、トム・クルーズ主演作『ラスト サムライ』でハリウッド映画デビューを飾り、さらに2年後には『鉄人28号』で映画初主演を果たすなど、俳優としてのキャリアは長い。そんな池松さんに、俳優としてのあり方や、自身にとっての「CHANGE」などを聞いた。【第1回/全4回】

池松壮亮 撮影/有坂政晴

 全世界が経験したパンデミックを、事実に基づいて描いた映画『フロントライン』が6月13日から公開する。 今作で、家族を残し、横浜に駆けつけたDMAT(災害医療派遣チーム)隊員・真田春人を演じるのは、俳優の池松壮亮さん。日本映画ではタブーとされていた新型コロナウイルス感染症を題材にした本作に挑戦した心境や、実際に乗船していたDMATの方々とのエピソードなどを聞いた。

――公式のインタビューで「あの時起こった出来事を、少しでも追体験するべきだなと思った」とお話しされていましたが、オファーを聞いた時、どんな思いがありましたか?

「全世界が共に経験したパンデミックの渦中に話題となった、ダイヤモンド・プリンセス号のお話を映画にすることを聞き、最初はとても驚きました。あの船内で何が起こっていたのかについて、当時の報道レベルでしか知りませんでした。その真実をフィクションでどう描き、何を伝えるべきなのか、様々な問いが込み上げてきたのを覚えています。

 それから脚本を読ませていただき、『自分自身があのパンデミックによって何を失い、何を得て、何を学んだのか』ということを今一度振り返ることができました。

 何よりDMATという、名もなき英雄たちの奮闘を知り、彼らの世界への献身に、心から勇気づけられました」