確かな演技力で、数多くの映画やドラマに出演している俳優・池松壮亮(34)。10代から子役として活動し、劇団四季のミュージカル『ライオンキング』のヤングシンバ役で俳優デビュー。その2年後には、トム・クルーズ主演作『ラスト サムライ』でハリウッド映画デビューを飾り、さらに2年後には『鉄人28号』で映画初主演を果たすなど、俳優としてのキャリアは長い。そんな池松さんに、俳優としてのあり方や、自身にとっての「CHANGE」などを聞いた。【第2回/全4回】

池松壮亮 撮影/有坂政晴

 現在公開中の映画 『フロントライン』で、DMAT隊員を演じている池松壮亮さん。

本作は、世界規模で人類が経験した新型コロナウイルス感染症との戦いを事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化した日本で初めての作品で、ダイヤモンド・プリンセス号の最前線で戦った人たちの知られざる姿を描いていることでも話題を呼んでいる。本作を日本で映画化した意義について、池松さんの考えを問うてみた。

――新型コロナウイルスに感染したとみられる乗客を乗せたクルーズ船が横浜港に停泊したというニュースを、池松さんは当時どのようにご覧になっていましたか。

「あの頃たまたま横浜港を通りかかって、停泊していたダイヤモンド・プリンセス号を実際に目にする機会があったんです。夕暮れの静かな東京湾に、きらきらと優雅にとても大きな船が浮かんでいて、その景色が嘘みたいにキレイだったことを覚えています。

 船内で起こっていることはニュースで知っていたものの、そのことと目の前の景色とのギャップに、感情がうまく追いつかないような感覚でした」