逆に、カメラが回っているときでよかったなと
「ドキュメンタリーのカメラが回っていたので。ドキュメンタリーって、なにかハプニングがないとおもしろくないから。逆に、カメラが回っているときでよかったなと思うんです。いま思えば、僕はそこから“吉井和哉役”をやっているんだという感覚になった。“あなたはこの作品で、途中でがんになります。東京ドームでのライブが決まります。BiSHというアイドルの解散の楽曲の依頼がきます。そうやって次の東京ドームを目指します”ーーというストーリーが、吉井和哉役として与えられているような感じになっていって、"がんを克服してツアーでちゃんと歌います”というストーリーを自分で作ったんでしょうね。その潜在意識が、治療を手伝ってくれたんじゃないかな、という気はします」
©2025「みらいのうた」製作委員会映画の中での吉井さん同様フランクに話すが、きっと並々ならぬ感情の揺れ動きがあったはずだ。そんななかで前向きな覚悟を決めた『みらいのうた』の吉井さんの姿から、目が離せなくなるはずだ。
写真:横山マサト
ヘアメイク:Cana Imai
スタイリスト:Shohei Kashima(W)
(つづく)
吉井和哉(よしい・かずや)
1966年10月8日、東京生まれ。1971年、5歳のとき事故で父が死去。小学校入学後に母の郷里である静岡に引っ越す。10代でベーシストとして加入したURGH POLICE解散後の1988年、22歳の頃にTHE YELLOW MONKEYを始動。翌1989年から現メンバーのラインナップとなり活動が本格化すると同時にボーカリストへ転向する。1992年のメジャーデビューを経て、1995年にリリースした5thアルバム『FOUR SEASONS』が初のオリコンチャート1位を獲得、ブレイクを果たす。2001年に活動休止(2004年に解散)。2003年よりYOSHII LOVINSON名義でソロ活動を開始し、2006年からは吉井和哉名義に移行。2016年1月8日、THE YELLOW MONKEY再集結の発表。2020年4月に予定されていた東京ドーム2daysが新型コロナウイルスの蔓延のため中止に。翌年のソロツアー中に喉の不具合によりツアーを中断、後に喉頭がんと診断される。治療を経て復活のステージの場に選ばれたのは2024年4月の東京ドーム公演となった。その後10thアルバム『Sparkle X』の発表とそれに伴うツアーも成功させた。現在もソロ、バンド両方での精力的な活動を展開している。
【作品概要】
映画『みらいのうた』
全国公開中
監督:エリザベス宮地
出演:吉井和哉
©︎2025「みらいのうた」製作委員会
配給:murmur 配給協力:ティ・ジョイ
映画公式HP:mirainouta-film.jp
SNSアカウント X・Instagram:@MIRAINOUTA_film