いいことも悪いことも含めて
とはいえ、いろいろと制限の多い時代では、いいことも悪いことも含めて、というのは難しいところがある。
窪塚「今は昭和の時代みたいにコンプライアンスがゆるくないというか、優しくないので、たったひとつの出来事が致命傷になって、その後は作品に出られないという人たちがたくさんいますけどね。それでも、根本的なところでは、それすらを肥やしにして表現や、役を生きるってことに使えると思います。
たとえば、人生で成功する3つの条件で“極貧の生活を送る”、“警察に捕まる”、“死にかける”とか言う人もいますけど、このうちの“警察に捕まる”は、内容にもよりますけど、完全にアウトになっちゃっていますから。
でも、そこまでいかなくても、とても悲しい出来事があったとか、とてもうれしい出来事があったとか、そういうことのすべてが肥やしになると思うので、そういったことを愛流には伝えました」
良いも悪いも含め、すべてが俳優としての肥やしになる。あまりにも多くの「CHANGE」を通過してきた窪塚さんならではの言葉だ。その言葉を受け止めた、愛流さんの活躍に期待したい。
■窪塚洋介(くぼづかようすけ)
1979年神奈川県横須賀市生まれ。95年に『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)でデビュー。2000年に放送されたドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)に出演し脚光を浴びる。17年にはマーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー。俳優以外にもレゲエDeejay、執筆などでも活躍。出演する最新映画『スイート・マイホーム』では、主人公の清沢賢二(窪田正孝/35)の兄、清沢聡を演じる。
映画『スイート・マイホーム』
冬が厳しい長野。スポーツインストラクターの清沢賢二は「まほうの家」と謳われた一軒のモデルハウスに心を奪われる。寒がりの妻と娘のために、たった1台のエアコンで家中を隅々まで暖められるというその家を建てる決心をする賢二。新居が完成し、家族に2人目の娘も加わって、一家は幸せの絶頂にいた。ところが、その家に越した直後から奇妙な出来事が起こり始める。まとわりつく様な何かの気配。赤ん坊の瞳に映るおそろしい影。地下に捕らわれ、泣き叫ぶ娘。次第に明かされる、秘められた過去‥‥。「家」を取り巻く恐怖の連鎖は家族だけに留まらず、関係者の怪死などに波及し始め、そして予想を超えた衝撃の結末に向けて加速していく。
監督:齊藤 工
原作:神津凛子「スイート・マイホーム」(講談社文庫)
出演:窪田正孝、蓮佛美沙子、奈緒、中島 歩、里々佳、松角洋平、根岸季衣、窪塚洋介
配給:日活、東京テアトル
©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社
2023年9月1日 全国公開