父・柄本明との“縁”で原作に出会う「読まなくちゃ」

「ぼくは本屋に行くのがすごく好きで、目的の本をゲットしたあとに店内をうろうろして、表紙を見てはジャケ買いすることが多いんですね。その日も、ふらふらとさまよっていたら『木挽町のあだ討ち』(新潮文庫刊)というタイトルが目に飛び込んできたんです。というのも、木挽町は父が生まれた場所で、“だったら読まなくちゃな”とレジに向かいました」

柄本佑 撮影/有坂政晴

 父とは、言わずとしれた俳優の柄本明。かつて柄本家は木挽町で印刷会社を営んでいたという。不思議な縁に導かれて読み始めた小説は、仇討ちに関わった人たちの証言で話が進んでいく語り口で、ページをめくる手が止まらなかったという。

「すごく面白かった……という記憶は鮮明だったけど、細かいところまで覚えていなかったので、オファーをいただいたタイミングで再読したんです。そして思い出しました。最初に読んだときも“これは、映像化は無理だろうな”と感じたことを」

 しかし、源孝志監督は、時代劇とはかけ離れた作品をヒントに、映像化を可能にした。

「ぼくが演じた主人公の加瀬総一郎は、原作にはほとんど登場しない男なんですが、彼を『刑事コロンボ』に見立て、事件……この作品では仇討ちですが……の関係者に聞き込みをするスタイルで撮る、とおっしゃるんです。ああ、それはおもしろい! と手を打ちましたね」