これから改めてなにかをすることはない

 人生の終わりを見越して、財産など、身のまわりの整理を進める“終活”。近年、メディアなどでよく耳にする言葉だが、幡野さんはどんな終活をしているのか。最後に聞いた。

「僕の病気って、感染症で死ぬ可能性が非常に高いので、いつ何があってもおかしくない状況だということもできます。常に終活を意識している反面、これから改めてなにかをすることはないという感じですね。

 遺品も必要最低限でいいと思っています。例えば、狩猟をしていた時に獲ったイノシシの頭の骨とか、旅行で使っていた思い出のパスポートとか、海外で買ったおもちゃとか。こう考えると、金銭的価値のないものばかりだな(笑)。でも、そうやって僕の人となりが伝わるようなものさえ残してくれていれば、それで十分です」

幡野広志 はたの·ひろし
1983年生まれ。2004年、日本写真芸術専門学校中退。2010年から広告写真家の高崎勉氏に師事し、2011年に独立。2016年に長男が誕生。2017年に多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。著書に『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』、『息子が生まれた日から、雨の日が好きになった。』(以上ポプラ社)、『だいたい人間関係で悩まされる』(幻冬舎)、『ラブレター』(ネコノス)などがある。

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