「そのときからですね。“やっぱり自分は舞台が好きなんだ”と実感できたのは」

──違う形で極めるとは、どんなイメージがありましたか?

「劇団の人たちに何か教えることができたら……とか、改めて勉強をし直して、自分が授かってきたものを還元できたらといったことは思っていました。歴代のトップさんも“卒業後は何をされますか?”と、よく質問をされていましたけど、私はというと、ほかには“休みたい”という思いしか、当時はなかったですね」

──ところが、退団公演のスケジュールも決まっていたなかで、コロナ禍に見舞われました。

「舞台自体がストップしてしまった期間、家でも毎日体を動かし、演技の勉強のために映画を見ていました。そのときからですね。“やっぱり自分は舞台が好きなんだ”と実感できたのは。あの止まったような時間がなかったら、“自分が生きている実感が得られる一番の時間が舞台に立っている時間なんだ”とは、気づかなかったかもしれません。それが、知らないことばかりの外の演劇に興味を抱けた、私のターニングポイントです」