今回のコンサートで歌う思い出の一曲「初めて宝塚のディナーショーを1人で任された時…」
「昔の曲って、映像感覚で記憶が蘇る。今は歌を聞いている状況が人それぞれで、体験の共有感はあまりないかもしれませんよね」
確かに、楽曲の共有自体は今もさまざまな形で行われているが、昭和は音楽を聴く手段が限られ、時の流れも今ほど早くはない時代。歌は歌い手からじっくりと相手に届けられ、受け取る側には連帯感にも似た共有があるものだった。
「結局、“日本人が日本人のために日本語で書いた歌”がいちばんストレートに刺さってくると思うんです。楽曲の背景やその時代の空気感が分かるからこそ、聴く方にドラマ性をもって伝えられるものがあるのかなぁと思います。
あの頃の歌って、聴く方にいかに浸透させるかということに特化している気がするんですよね。前奏を聞くだけでサビが思い浮かぶし、知らない人同士でも、なんとなく一緒に口ずさめる! どこか優しくて、歌詞もじんわりと心にしみるものが多いかな」
──今回の100曲のリストの中でも、剣さんにとって特別な楽曲を選ぶならどれですか?
「オフコースの『さよなら』は、私が初めて宝塚のディナーショーを1人で任された時、ラストに歌った思い出の一曲です。(ディナーショーは)シャンソンや宝塚の公演で披露したものを歌う方も多いんですけど、私はほとんどポップスで構成したんです。『さよなら』は、お客様に“来てくださってありがとう”という思いを込めて歌いました。
『恋文コンサート』という20年以上やっている歌と朗読のステージでも、昭和の楽曲はよく歌うんですよ」
自身が生まれ育った昭和、その時代に生まれた楽曲に並々ならぬ思い入れがある剣さん。その思い入れはアイテムにも表れている。