気付けば25年間。全204回『水戸黄門』入浴シーンの裏側

 その後、時代劇『水戸黄門』で、くノ一・かげろうお銀役をいただきました。当初は1クールほどの予定でしたが、気付けば25年間も出演し続けることになりました。

 今でも語り草になっているのが、入浴シーン。全部で204回もあったそうで、テレビでこれほど入浴シーンを演じた女優は、世界でも私くらいではないでしょうか(笑)。実際には裸ではなく、ちゃんと水着を着て、そのうえにベージュのさらしのようなものを巻いて撮影していたんです。

 これまでのキャリアの中で、多くのスターの方ともご一緒させていただきました。

 デビュー作の映画『夜のバラを消せ』(1966年)の主演は石原裕次郎さん。その直後の16~17歳のときには『恋のメキシカンロック 恋と夢と冒険』(1967年)で、橋幸夫さんと共演させていただき、グァムとシンガポールに行きました。

 忘れられないのは勝新太郎さんとの共演です。ドラマ版の『座頭市』(1974年)にゲストで出演させていただいたことがあって、時代劇での特有の所作など、多くのことを教えていただきました。その後の大川橋蔵さんや西郷輝彦さんとの共演も強く印象に残っています。

「あら、意外とステキじゃない」48年ぶりの映画出演で挑む初の“おばあちゃん役”

 現代劇にも、たくさん出演したんですよ。特に、主演映画『銀の長靴(ブーツ)』(1967年)で、早朝の銀座を舞台に銀のハットとマント姿で軽やかに踊ったシーンは、楽しい思い出です。もっとも、当時はまだお芝居が上手いとは言えませんでしたが(苦笑)。

 その後、ドラマ『高原へいらっしゃい』(1976年)でご一緒した田宮二郎さんや、『ゆうひが丘の総理大臣』(1978年)の中村雅俊さんといった素晴らしい先輩方が、私に演じることの本当の面白さを教えてくださいました。

 こうした中で、皆さんのプロフェッショナルとしてのお仕事への情熱を学ばせていただき、今の私があるんだと感謝しています。

 そんな私が、このたび『小春日和』という映画に出演させていただくことになりました。『火の鳥』のウズメ役以来、実に48年ぶりの映画出演です。初めて「おばあちゃん役」のオファーをいただき、ぜひ挑戦してみたいと出演を決めました。それに、今の私なら、ありのままの自分を堂々と表現できるのではないかと思ったんです。

 私が演じた鈴子おばあちゃんは、曲がったことが大嫌いな、とてもしっかりした女性。その部分は、自分と重なるところがあったので、役作りで気負うというよりは、素の私のままで演じてみました(笑)。髪は白髪ですが、実はこれ、オーダーメイドのウィッグなんですよ。衣装合わせで初めて着けたとき、鏡に映る自分を見て「あら、意外とステキじゃない。これも悪くないわね」なんて思わず笑ってしまいました。

つづく

由美かおる(ゆみ・かおる)
1950年11月12日、京都府出身。A型。小学6年生の時に「西野バレエ団」へ入団。15歳でテレビ番組『11PM』に出演、ダンスと歌を披露。1966年ゴールデンアロー賞にて新人賞を獲得。同年公開の映画『夜のバラを消せ』で石原裕次郎の相手役として抜擢される。1967年、音楽番組『レ・ガールズ』で、金井克子や奈美悦子らと共演。『同棲時代 -今日子と次郎-』、『しなの川』、『ノストラダムスの大予言』、『エスパイ』などの映画や『高原へいらっしゃい』、『火曜日のあいつ』などのドラマ、舞台などで多くの作品に出演。1986年より25年間に渡りドラマ『水戸黄門』に、かげろうお銀、疾風のお絹としてレギュラー出演。ゴールデンアロー賞4回他、各種の受賞歴多数。合気道4段。厚生大臣の私的諮問機関「国民健康会議」委員、厚生省「医療審議会」委員、大阪国際女子大学客員講師などを歴任。35年以上続けている「健康と美」をテーマとした呼吸法「由美かおるコア・ブリージング」の講演活動を全国で行っている。

映画『小春日和』
企画・製作・プロデュース:楠部知子
監督・脚本:松本動
出演:水村美咲 由美かおる 柴田理恵 千原ゆら 国木田かっぱ キャンサーズ 佐野史郎
5月29日(金)より池袋シネマ・ロサほか、全国順次公開中
配給:フリック
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